慢性疲労症候群
健康な人が突然、普通とは違う原因不明の激しいだるさに襲われ、少し動くのもつらくなるという病気が慢性疲労症候群です。
他にも以下のような症状を伴います。
- 微熱が続く
- 頭が痛い
- 眠れない・眠り過ぎる
- のどが痛い
- 思考力が低下する
- 憂うつ感
- 関節や筋肉が痛い など
こうした状態が半年以上、時には数年続き、意欲はあっても仕事や家事ができず、健全な社会生活が送れなくなるのです。
原因不明の疲労の為に、生活に支障きたしている人々は決して少なくありません。
慢性疲労症候群の患者は7~8割が女性で、高学歴な頑張り屋さんが多いと言われています。
ウイルスが原因とも考えられています
慢性疲労症候群の症状が現れる前には、心と体にストレスがあることが多いです。
風邪をひいたことがきっかけで発症することが多いとされ、時に集団発生が見られることから、ウイルスが原因ではないかという説もあります。
患者さんには神経に棲みつくウイルスの抗体が、健常人よりも高率に認められるとも言われています。
過覚醒に原因がある?
ただ、当医は、過覚醒が原因と一つではないかと考えています。
頑張り過ぎたり、過度なストレスに曝されると、その状況を何とか乗り越えようとして、過覚醒状態となります。
過覚醒とは
過覚醒とは、自律神経(交感神経、副交感神経)のうち、交感神経が過剰に高ぶっている状態です。
交感神経とは、覚醒時に高くなる神経で、危機的状況を乗り越えようとするときや、ストレスに立ち向かうとき、また、新たな状況や環境に適応しようと頑張っている場合にも高まります。
そして、それらストレスから解放されリラックスできる状況になると、交感神経が下がり、逆に副交感神経が上がり休息状態となります。
副交感神経は、リラックスのほかに、内臓機能や免疫を調整する役目を担っています。
交感神経が反応することは自然な防衛反応ですが、人に期待に応えようと過剰に頑張ってしまったり、常にストレスにさらされる場合では、交感神経が常に刺激され、本来リラックスできる状況になっても下がらなくなってしまいます。
このように交感神経が常に優位になっている状態が過覚醒です。
過覚醒により、心も体も休むことがなくなってしまいます
この状態では、動悸、口の乾き、肩こり、頭痛、寝付きが悪く、睡眠が浅くなり些細な物音で起きてしまったりします。
そして、副交感神経が抑制されているので、胃腸など内臓の機能が低下し、胃痛、吐き気、腹痛が起こります。
また、これら自律神経のバランスが乱れる事によって、喘息発作やじんましん、円形脱毛、月経不順などを生じたりします。
さらに、この状態が長く続くと敏感さが増し、些細なことが気になり頭から離れなくなり、頭が休息出来ない状態となります。
過覚醒になると、交感神経が常に高ぶっているので、疲れ、疲弊をマスキングします。
つまり、疲労困憊でへとへとな状態にも関わらず、覚醒成分が優位なので、その疲れを感じない状態となってしまします。
疲労の蓄積を感じないという、ある意味怖い状態が続くのです。
限界を超えたとき、一気に疲労に襲われてしまいます
しかし、この過覚醒による代償作用もそう長く続きません。
疲労がピークに達すると、交感神経の過剰興奮の代償作用が破綻し、今まで長く蓄積された疲弊が、ダムが決壊したごとく襲ってきます。
これが、慢性疲労症候群の原因の一つではないかと私は考えています。
その結果、心身の疲弊につながり、疲れやすくなり、意欲が低下し、最悪うつ状態となってしまいます。
対応策
慢性疲労症候群にならないために、以下のような予防をするように心がけましょう。
- 思い切って、3週間ほどゆっくり休養を取る
- 過覚醒の前兆(前述の頭痛、不眠、口渇、胃腸障害等)を見落とさず、過覚醒状態になることを予防する
- 漢方や薬を用いて症状を和らげる
- 焦り、頑張りは禁物
- 周りの人の理解と協力が必要
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