舌痛症
舌痛症とは?
舌の表面に痛みまたは違和感がでているにも関わらず、その原因となりそうな病気が特に見当たらない状態をいいます。
ほかに以下のような特徴があります。
- 中高年の女性に多い
- 舌の痛みは強くはなく、ヒリヒリ、ピリピリする程度
- 舌の先、舌の縁に多い
- 食事をするときに痛みが、軽減あるいは無くなることが多い
- 「自分がガンではないか?」と不安になる
- 痛みが出る前に、歯科処置を受けている場合がある
- 患者さんの性格として、几帳面、完全癖などの執着性格や心気傾向がある
頻度は、1.5%~2.5%であり、50歳以上の発症が多いとされています。
症状
症状としては、突然舌の先端や側面に痛みや熱くてひりひりするような感覚、違和感が現れます。
原因
舌痛症の原因としては、心因性(ストレスや、情緒的葛藤、心理社会的問題など)が大きな役割を占めていると考えられていますが、ビタミンB欠乏症、微量元素の欠乏、カンジダ症、ドライマウス、薬剤の副作用なども原因と成り得ることがわかってきています。
診断
診断としては、まずは、その痛みに対する器質的疾患(体のどこかに見てわかる病気)がないかどうかの鑑別が必要です。
つまり、この診断は、歯科、内科、耳鼻科などの体の病気からきている痛みのみではないことが前提となっています。
その上で、上記の診断基準を満たせば「舌痛症」と診断します。
治療について
舌痛症の薬物療法として、消炎鎮痛剤などの痛み止めや、神経ブロックなどの麻酔は、痛みに対してあまり効果的でないことが多いです。
その場合、抗うつ薬が非常に効果的です。
最近では、副作用の比較的少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)などが使用されます。
これらの薬は、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質を増加させる働きがあるのですが、それらの神経伝達物質が脊髄で末梢からの痛覚情報を伝える求心性神経伝達を抑制しています。
わかりやすく言えば、脊髄にある痛覚のアンプのボリュームを絞る働きがあるからといわれています。
そのほかには、痛みの不安・恐怖感に対しては抗不安薬や抗精神病薬、感情調整薬などもその時々の状況に合わせて使用します。
また、その痛みの背後にある、癌に対する不安や、生活上のストレス軽減のためにカウンセリングなども有効です。
そして、薬物療法、心理療法を通し、痛みを完全になくすことを治療のゴールとせずに、よりよいQOL、つまり日常生活に支障をもたらさない程度に痛みをコントロールすることを目標にすることが良いです。
予防について
舌痛症は、元来の性格傾向として、几帳面、完全癖、執着、心気的な方がなりやすいといわれています。
そのような方が、自分自身ではコントロールできない状況になると痛みが増強すると考えられています。
無理せず、こだわらず、リラックスして余裕を持ちましょう
まずは、適度にリラックスし、何事にも余裕を持って接することが大切で、自分に余裕がないときにはあえて無理をせず思い切って怠けてしまうのも一つの予防法です。
また、今時分の抱えているストレスを正しく認知し、そのストレスが解決可能なことであれば解決の手段を模索し、解決できないことであればこだわらない、つまり、ストレスに対してメリハリをつけることも大切です。
痛みが出ても、それを紛らわせる環境を作りましょう
そして、もし仮に痛みが出たとしても、その痛みを消すことに集中するのではなく、その痛みを紛らわせる、その痛みに集中しなくても良い状況を作ることも大切です。
例えば、痛みがあるからといって家に引きこもってしまうのではなく、少々痛みがあったとしても、趣味のテニスや園芸などに参加したり、散歩や近所の人と世間話に花を咲かせるなどをする。
そのような生活を送ることで、薬を使わずとも、舌痛症までの痛みにまで発展することを防げます。
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