月経前症候群
(PMS :premenstrual syndrome)
月経前症候群とは?
月経前症候群(以下PMS)とは、月経2週間ないし、1週間くらい前からおこり、月経開始とともに消失する、一連の精神的、身体的症状をしめす症候群です。
わかりやすく言えば、月経前に気持ちや、体の調子が悪くなり、月経がくると改善する状態です。
原因
原因は、今のところはっきりとは解明されていませんが、女性ホルモンである黄体ホルモンや、うつ病の原因とされている脳の神経伝達物質セロトニンの低下などが影響していると考えられています。
症状
症状としては、精神症状、身体症状があります。
精神症状
- イライラする
- 気持ちが落ち込み憂鬱
- 無気力
- 集中力がない
- 眠れない
- 疲れやすい
- 落ち着かない など
身体症状
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 頭痛
- 過食
- むくみ
- めまい
- 肌荒れ など
PMSは、成熟期女性の半数以上に認めれられる症候群です。
PMSでも、特に精神症状が著しい群を月経前不快気分障害PMDD(premenstrual dysphoric disorder)といい、30代に多く、成熟期女性の3~8%に認められます。
また、PMSは、症状自体も辛いですが、イライラしたりすることで、周りと衝突してしまったり、付き合っている彼、夫とギクシャクしたりと社会的に不利益を被ることもPMSの辛い部分だといえます。
治療
ご自身がPMSであることを自覚しましょう
まずは、自分がPMSであることを理解、自覚することが大切です。
月経前には、こんな症状が出やすいんだ、自分はこんな感じになってしまうんだとあらかじめ予想することです。
それらの症状がPMSから来ていることを受け入れるだけでも安心することが出来ます。
基礎体温などをつけることで、自分自身の月経のバランスがわかりある程度症状出現時期が予測できます。
周囲の理解と協力も大切です
周りに対しても、月経前症候群と打ちあけ、周りにも理解してもらうことも重要です。
その上で、薬物療法、非薬物療法を行いましょう。
薬物療法
薬物療法としては、抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が有効とされています。
上述したように、PMSはセロトニンの低下と関係があるとされており、セロトニンが低下することで気持ちが落ち込み憂鬱になったり、集中力が低下し、不安になります。
SSRIを服用することにより、セロトニンの低下が改善され、それらの症状を緩和することができます。
また、漢方を併用することで気持ちが落ち着き、PMSと上手く付き合っていくことも出来ます。
具体的には、抑肝散や温経湯などを服用することで気持ちが落ち着き、ほてりや、不眠にも改善されます。
ピルもPMSに対して、一定の効果があるともいわれています。
非薬物療法
非薬物療法では、食事療法としてγ-リノレン酸を含む食事もお勧めです。
PMSの人は、γ-リノレン酸の体内量が少ないとされており、月経前に積極的にγ-リノレン酸を摂取することでPMSの症状が緩和されます。
また、DHA/EPAがPMS症状を緩和することがあります。いわゆる地中海フードがお勧めです。
青魚のサンマ、アジ、イワシ、サバなどいいですね(青魚のマリネ、美味しいし一石二鳥です)。
PMSの予防
PMSを悪化させる一番の原因はストレスといわれています。
月経前には、あらかじめストレスとなる予定をいれないことも重要です。
入ってくるストレスを最小限にし、それでも入ってきたストレスは人に話したりすることで小出しにすることです。
そして、月経前には特に、バランスの良い食事をし、豚肉、インゲン、大豆などビタミンB6を多く含む食事をし、逆に、カフェイン、アルコールなどの刺激物を避けることも大切です。
また、適度な運動をすることで血流が改善し、ストレス発散もなり効果的です。
PMSは重かれ軽かれ殆どの女性にはその症状があると言っても過言ではありません。一人で悩まず、気軽に病院に受診することをお勧めします。
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