こころの病気の診断方法
精神科、心療内科ってどんな診察をするの?
精神科、心療内科を受診したことがない人はいったいどのような流れで診察が進むかわからないと思います。
内科や外科などの体を診る科であれば、自分の症状を話し、医師が診断のため症状を聞きだしたり、聴診器などを使い体の診察や、また、採血を行い体の状態をチェックします。
さらにくわしい状態が知りたいときは、レントゲン検査やCT、MRIなどの画像検査も行われます。
問診が中心です
しかし、精神科、心療内科では問診が中心となります。
一般的な初診のときの流れとして、まず、患者さんに出来るだけ詳細に、現在の状況、状態を詳しく問診票に書いていただきます。
- 困っていること
- 悩みの内容
- 悩んでいる相手や状況
- いつからなのか
- 症状が続いているのか
- 悪くなってきているのか
- 原因として思い当たることがあるのか 等
この問診票には、どんなことでも細かく気になっていることを記載して頂きます。
症状を話す様子をチェックしています
その後、精神科医による診察を行います。診察といっても聴診や触診、血液検査、画像検査ではなく問診が中心となります。
問診に関して、皆さんは、ただ、精神科医が患者さんの話を聞いてあげていると思っていると思いますが、実はそのほかに様々なことを診察し情報を得ているのです。
一番重きを置いて観察しているのは顔の表情、動き、声のトーンです。表情筋の動きなどもチェックしています。
例えばうつ状態になると表情の動きが少なくなり、会話の内容に伴う表情の変化も少なくなります。
楽しいはずの内容を話しているのに楽しそうな表情ではなかったり、逆に辛そうな内容を話しているのに辛そうな表情でなくなります。
そして、思考が抑制されているため、こちらが質問しても答えが返ってくるまでに時間がかかり、声のトーンも低くなります。
逆に、躁状態では、顔ははきはきとしており声も大きく、体の動きも激しくなります。
質問事項に関しても、患者さんが訴えにより、ある程度考えられる病気をいくつか頭の中に浮かべ、鑑別していきます。
ただ聞いているのではなく、その訴えから診断の根拠とされる症状を探し出す作業をしているといったほうが妥当だと思います。
患者さん自身が気付いていない症状も引き出します
患者さんが自ら訴えなくとも、疑われる病気の症状の有無をこちらから聞くことで患者さんが気付くこともあります。
例えば、患者さんが「眠れない」、「疲れやすい」という訴えで来院された場合に、うつ病が疑われた際には、「ただ眠れないのではなく、何か仕事の事等を考えているせいで眠れないのでは?」、「それ以外の症状として、頭が回らなかったり、最近集中力が出なかったりしませんか?」と医師側から聞くことで「あぁ~、そういえば最近仕事で集中力がなく、ミスばっかりしているなぁ」という感じです。
「先生、最近イライラして、こどもに当たっちゃうのよ」などの訴えがあったら、「ひょっとして月経前じゃかなった?」など患者さんと一緒に理由を見つけていきます。
良い精神科医とはよく話(症状)を聞く医師ではなく、上手に話(症状)を聞きだせる先生なのかもしれません。
体の機能チェックのための検査も行います
問診のほかには、採血も必要に応じて行います。
「疲れやすい」、「やる気がしない」などの訴えがあるときには、うつ病などの心の病だけではなく、甲状腺機能低下症や肝機能障害なども疑われます。
その場合は、採血にて甲状腺ホルモンや肝機能をチェックします。
こころの病で採血を良く行うのは、拒食症です。
これは、極度の低体重になった場合は電解質の乱れ(低ナトリウム血症、低カリウム血症)、低血糖、また、甲状腺ホルモンや性ホルモンの低下も呈します。
認知症や、器質性精神障害(脳腫瘍や頭部外傷などで生じる精神障害)の診断のためにCT、MRIなど画像検査を行うことはありますが、一般のクリニックではそのような器材がないため他の大きい総合病院などの画像検査をお願いすることもあります。
また、心理テスト、質問紙を使用するケースもあります。
心理テスト自体で病気を診断することは出来ませんが、診断の補助として使用することはあります。
ただ、補助であって、あくまでも問診による患者さんの訴え、表情などが診断根拠の中心です。
例としてはSDS、HDS-R、TEG、HTP、WAISなどがあります。
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