「テレワークうつ」に
ならない為には
2020/4/21
では、どうすれば「テレワークうつ」を予防できるのかを考えます。
答えは、いつも診察で患者さんにお伝えていることを行えば、予防できると思います。
テレワークうつの原因は、過覚醒による脳疲労とお伝えしました。
では、過覚醒を起こさないようにすれば、テレワークうつを予防できることになります。
テレワークうつの予防法
① オンとオフの切り替えを行う
テレワークや在宅勤務では、どうしてもオンとオフの切り替えが上手く出来ません。
それは、時間で区切っていない事が原因の多くです。
仕事を、量、タスクで区切るのではなく、時間で区切る事が良いです。
区切りは明確で普遍的に
例えば、掃除を例に例えます。
一つの部屋を掃除する時に、「綺麗になるまで」と区切ってしまえば、ホコリ一つ残さず、ピッカピッカにするためには、おそらく一日使っても終わりません。
すべての物をどかして、床に掃除機をかけて、水拭きして、乾拭き、ワックスをかける。
壁もきれいに水拭き、乾拭き。窓の冊子も歯ブラシを使って綺麗にする・・・・・。キリがありません。
それを、45分掃除をしたらいったん終わらせる。そして、次の45分をするかを考える。そうすれば、やり過ぎる事を防げます。
仕事も、「これだけやって休憩」とするのではなく、「○○時までやったら休憩」、「○○分やったらおやつを食べよう」など、普遍的な単位で区切った方がオンとオフの切り替えがしやすいです。
昼も、12時~13時までは一切のメールをしないとか、PCを見ない。メールのレスをしないなどです。
だって、普段職場にいれば、外へ食事に行っていますよね。
在宅でも残業は残業
同じように、就労時間を過ぎれば(大体の会社は17:30位でしょうか)、残業と考える事です。
つまり、オプションです。
今は、オプションの時間なのでオプション程度のやる気で良いのです。
患者さんには、在宅の時は残業を申告しないという方もいましたが、これは絶対NGです。
法律云々ではなく、人はストレスを受ける分、会社からお金という対価を得られるのです。
ストレスを受けても、その対価を受けられないのであれば、それはボランティアです。
経営者や役員など、24時間給料が発生している立場でもない限り、ボランティアはすべきでないです。
② 「テレワーク」だからこの程度
同じ効率ではできない
テレワークでの効率を、職場で行う効率と同程度出来ると思うこと自体間違いです。
もちろん、通勤が無い分、それだけは効率がいいです。
しかし、PC用のデスクが用意されていて、Wi-Fiやネットワークのスピードも速く、周りにすぐ聞ける人がいる状況で、周りに誘惑がない職場と、リビングのテーブルで、食事する用の椅子で、Wi-Fiの速度も遅く、決して大きくはないノートPC、聞きづらいPC音声での会議、何を聞くにもメール・・・。比較になりません。
であるので、「テレワークだからこんな程度でいいっす」と考える事です。
達成基準を下げましょう
基準を下げてあげる事も大切です。
特に日本人は、基準を達成することに長けている人種です。逆を言えば、基準を達成できなければストレスを感じてしまいます。
実は、私もこのコラムを自宅で書いています。
リビングのテーブルにノートPCで書いているのですが、まず、テーブルの角に上腕が当たり、痛い!手首と肘の間に、テーブルの角が当たり、いつもと違う高さな為か、痛いです。
そして、椅子です。ひじ掛けもなく、背もたれも固定されている椅子では腰が痛いです。
腰痛はテレワーク障害のあるあるです(ほとんどの患者さんで腰痛の症状があります)。
「テレワークだから、この程度の進捗でも良しとしよう」、「いつもより疲れるから、早めに切り上げよう」等、「こんなもん」と思う事、大切ですよ。
③ 「いま、ここ」以外は、幻想(陽炎)と思う事
「このテレワークがいつまで続くのか心配」、「GW明け、どうなっているか不安」、「夜8時を回ったけど、まだみんな仕事しているのかなぁ」、「コロナウィルスいつになったら終息するのかなぁ」
これらは全て幻想です。そう実体のない陽炎なのです。
答えの出ないことは考えない
現在以外、未来の事など、今、何時間かけて真剣に考えても、答えは出ません。
出たと思ったことは、あなたの頭の中で起こっているファンタジーに過ぎません。
もし、10時間考えたら、未来の事がわかるのであれば、その10時間考えるストレスは意味があるでしょう。
残念ながら、それはファンタジーです。
夜9時に同僚が仕事をしているか否かなんて、いくら考えてもわかりませんよね。ストーカーでもない限り。
新型コロナウイルスのワクチンがいつできるのかを考え悩むのは、我々の役割ではありません。ワクチンを開発している研究者が悩むことなのです。
つまり、実体のないファンタジーで、心を病む必要はありません。
「自ら作り上げたファンタジー相手に、一人ボクシングをしないこと!!」
④ 最後に、自分をほめ、何だかんだいって何とかなると思う事
このコロナ騒動で、慣れないテレワーク、家族がいる中で仕事をしなければならない状況で頑張っている自分を無条件に称える事です。
自分を褒め、称える事に理由はいりません。
ただ、「わたしって、なんだかんだ言ってよくやってんじゃん」、「コロナ恐怖のなか、生活しているだけでも素晴らしいのに、その中で、テレワークまでやっちゃってる、俺って素敵」など、思い込みましょう。
そして、根拠はないが、「何とかなる」と思いきることです。
この「何とかなる」事に対して、根拠なんかめんどくさいものはいりません。兎に角、思う事です。
もし、皆さんの目の前に、箱に入ったスピードくじがあるとしますね(よく、コンビニであるような)。
その箱の中には、「当たりくじ」と「空くじ」しか入っていない。つまり「罰ゲーム」が入っていないくじ引きだとしましょう。
その箱に入っているくじを引いていいよと言われて、断る人いますか?
だって、当たりくじか、外れのカスくじしか入ってないのであれば、良いことがあるか何もないかだけですよ。
引いたもの勝ちですよね。私なら迷わず引きます。
自分の努力を無条件に褒め称える事、そして根拠なく「何とかなる」と思う事は、その箱に入ったスピードくじと一緒なのです。
そう思うことに、罰ゲームは入っていません。いいことがあるか、何もないかだけです。
そんな有難いくじ、引かなきゃ損ですよね。
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